「売る」を「買う」に変換する
ブランディングの効用

新商品導入を契機にしたブランドづくり

新商品を市場導入する際、当然のことながら、誰に、いくらで、どこで、どのように、といったマーケティングを行使することとなりますが、ブランド力を携えることで、消費者に自発的に“選ばれる”また“選ばれ続ける”商品へと育成することが可能になります。

ブランドは、消費者にとっての「意味」や「意義」と定義づけられ、商品の性能や機能を超えた、消費者の「好き」といった感情的な絆によって形成されます。イノベーションや価格は常に競争にさらされますが、消費者とブランドの間にある絆はそうやすやすとは解消されません。

ブランディングとはまさに商品と消費者が共有する価値づくりの行程であり、ブランドは、「売る」を、消費者の「買う」という行動に変換する力となります。

CCPでは、イノベーションにより生み出されたシーズをブランドとして世に送り出すワークプロセスを以下のように推進します。

ブランディングの行程

ブランドをいかに形成し、いかに育成するか

CCPメソッド

どんなに優れたイノベーションによって開発された商品であっても、消費者がそれを求めなければ購買には結びつきません。商品を市場導入するには、いかに貴社がもつシーズを消費者のニーズやウォンツに根ざすインサイトにマッチさせるかが重要なカギを握ります。

ここでは、ワークプロセスの中で、とくに消費者のインサイトに刺さるブランドの土台作りにフォーカスした01から04のCCPメソッドをご紹介いたします。

  1. 01 ブランディング・ワークショップ
  2. 02 コンセプトテスト
  3. 03 ブランドガイドライン
  4. 04 ワーキングエレメント

01 ブランディング・ワークショップ

前述のとおり、ブランドは、消費者にとっての「意味」や「価値」と定義づけられ、商品の性能や機能を超えた、消費者の「好き」といった感情的な絆によって形成されます。ターゲット消費者が理屈ではなく感覚的にピンとくるような、彼ら・彼女たちと共有できる際立ったブランドの価値は何であるか?ブランディング・ワークショップは、ブランドに携わる当事者たちが集まって、ブランドが所有している資源を総ざらいし、各人のブランドに対する想いに気づき合い、話し合い、他ブランドにはない独自性のある価値を見出し、お互いに理解・共有し合う場となります。

ブランディング・ワークショップでは、日頃の職場での上下関係や部署の垣根を外して、各々自由な発想で自由に発言し、多様な意見に耳を傾け合うことが肝要です。CCPのファシリテーターがその「場づくり」をするとともに、会場をオフサイト(社外のどこか)にしたり、ターゲットの気持ちになれるようドレスコードを設定したり、会場をデコレーションするというようなことも有益です。投影法などを使って自らのインサイトに気づくというようなセッションを採り入れることもあります。

02 コンセプトテスト

自分たちが導き出したブランドメッセージが、独りよがりなものでなく、実際に消費者が共感し、その価値を自分たちと共有し合えるものであるか。満を持した新商品であるほど得てして消費者に伝えたいことは山ほどあることと思われますが、それは果たして消費者が求めるものであるのか。消費者のインサイトに響き、自分の暮らしに採り入れたいと思えるものであるか。また競合にはない差別性・独自性をもったものであるのか。

それらを検証し市場導入した際の消費者の受容性と市場における強さ(競合優位性)を予測するコンセプトテストを実施することをお薦めいたします。

複数のアプローチがある場合には、どのコンセプトがより強みを発揮するかの検証も併せて行います。

コンセプトテストを行うにあたっては、調査マテリアルとして次のようなコンセプトボードを作成します。CCPでは戦略プランナーとともにクリエイティブスタッフが参画し、ブランドが世に出た時のコミュニケーションを想定してコンセプトボードを開発します。

03 ブランドガイドライン

ブランドの道筋が定まったら、ブランドに関わる全ての人たちが共有するためのツールとして、ブランドガイドラインを策定します。

多くの企業は、ロゴの扱いを中心としたデザインルールを規定するガイドラインを所持していて、それを称してブランドガイドラインとして扱っていらっしゃいます。CCPが提唱するブランドガイドラインは、ブランドの色やカタチといった外見だけではなく、ブランドの素性・本質・価値を明確化することで、ブランドに関わる全ての人々がブランドに対し共通の認識を持ち、共働してブランドを正しい道へ歩ませるためのいわば“羅針盤”となる共有ツールです。将来にわたりブレないブランディング活動を支えます。

ブランドは消費者にとっての「意味」や「意義」として育成されなければならないので、ガイドラインではブランドが提供する価値に共感を覚えるのが、どんな人たちであるのか、どんな価値観やインサイトを抱いている人たちであるのかについても定義されます。

ブランドガイドラインは、コミュニケーション開発ステージにおいては、制作・PR・メディアといった外部スタッフにも共有されることから、彼らにインスピレーションを与えるものでもあるよう、最終工程にはコピーライターおよびデザイナーも参画いたします。

CCP ブランドガイドラインの詳細はこちらから

04 ワーキングエレメント

マーケットが成熟し多種多様な商品/サービスがあふれるこの時代。ブランドは、多少の差別化のポイントはあっても、その多くがまるで類似商品のように競合し合っています。また同時にデジタルメディアの台頭によりコミュニケーションの在り方も変容し消費者主体のブランド選別がなされるようになっています。このような環境下において、ブランドはその独自の価値を消費者の記憶に留め(続け)、買いたい、買い続けたいという気持ちを醸成しなければなりません。そのため、消費者に発信するメッセージも「伝える」のではなく「伝わる」ものである必要があります。

ブランド・セイリエンス

ブランド・セイリエンスとは、ブランドの突出性・独自性のことで、ブランド特性に対する認知の強さを意味します。ケビン・レーン・ケラーの提唱するブランド・ビルディング・ブロックを形成するブランドエクイティピラミッドの底辺に位置づくものです。単にブランド名の認知率(知名度)を測るのではなく、様々な状況下で、どの程度の頻度で、どの程度簡易にブランドを思い出すことができるかを測定することで判断することができます。ブランド・セイリエンスは、記憶構造を刷新・構築することに作用し、ブランドが人々の心の中をどのように占めているか、記憶とブランドの間に構築されるネットワークの量と質に大きく依存します。

「ブランドエクイティピラミッド」

ブランドエクイティをマーケティング活動によって高めるための全体プロセス
-ケビン.L.ケラー

ユニーク識別特性

“これ”に触れるとそのブランドを想起させるUIC(ユニーク識別特性)はその単体が個別に認知されるより、個々のものが記憶に集積され、連想ゲームのようにブランドを思い起こさせるように人々の心にインプットされることが大切です。その連鎖するUICがブランド・セイリエンスを形成することとなります。脳内つまり人の心にインプットされるには、それが自分に向けられた、自分に関連のあるものであると受け止められなければなりません。そのためブランドメッセージは、ターゲット消費者がレレバンシー(自分にとっての関連性)を感じるように届けられる必要があります。CCPでは、効果的にブランド・セイリエンスを構築するために、ブランドの独自性を形成するための「ワーキングエレメント」を分析・開発いたします。

ワーキングエレメント

「ワーキングエレメント」は、まさに「伝わる」メッセージを発信するために有効で、その蓄積によりブランドエクイティを確立することに大きく貢献します。「ワーキングエレメント」によりインプットされたUICが、購買シーンにおいて感覚的かつ瞬間的に想起されることで、このブランドを「買う」という衝動がドライブされることとなります。